2022年12月2日、ブラックアダムが公開された。
ゴタゴタ続きのDC、ワーナーが気合を込めて制作した映画。
ドゥエイン・ジョンソンことザ・ロック様がDCのキャラクター、しかもヴィラン寄りのキャラを演じる。ライバルキャラであるシャザム、世界一有名なヒーローであるスーパーマンを素で倒せそうと話題になったんじゃないかな。
配信では面白かったけど、手放しに大絶賛はし辛い。と言っていた。
それはブラックアダム本人にはパワーこそあれど、キャラクター性が薄く見えるかもしれない。
私が思うに、ブラックアダムは口数が少なく、目的が無いからである。
復活したブラックアダムが軍、インターギャング相手に無双をしていたけど、破壊神と言えるかと言うと、自分を攻撃してきた相手に対する反撃でしょ。
正直、通常の火器によるダメージなんて0なんだけど、鬱陶しいし、恐らく彼の過去にある憎き王族の軍隊を思わせるのもあるから、放置せず無双するよね。
それで、破壊神かって言うと、イメージとは違うんじゃない。ドラゴンボール超のビルス様って映画でブルマを普通に殴ったでしょ。でも本作のブラックアダムが考古学者のアドリアナを殴るかって言われたら、映画を見た人のほとんどがしないって答えられると思う。
少なくとも壁ドーンして移動するけど、一切話が通じないってわけでもない。
原作だと自分と同じ力を持った甥っ子から力を奪う為に殺したり、堕落した王だったりするので、観客から愛される主人公になるにはハードルが高いと思われる。
だから、王族の軍によって瀕死のところを、本来のスーパーパワーを持った息子がその力を譲り、命を救われるんだけど、力を失くした息子は隙を突かれて殺される。
怒ったブラックアダムが復讐に王族を滅ぼし、封印されたってエピソードにしたんじゃないかな。
人によっては分かりづらいかもしれない。配信中は見た直後だから、上手く言葉にできなかったけど、ここが大絶賛はし辛いポイントかな。面白い作品である事には変わらないけど。
『復讐を終えて枯れている状態』
私的にまとめると、最凶破壊神ってコピーのオラオラ系な性格かと思いきや、ふたを開けると、口数少ない、目的を持たないスーパーパワーを持った男なんだよね。
『カーンダックの説明いる? いります』
冒頭、ブラックアダムがなかなか登場せず不満に思った人がいるかもしれない。
いきなりブラックアダムがインターギャングを相手に無双して、デッドプールの映画やハーレイクインの映画みたいにストップをかけて、「俺の名前はテス・アダム」ってモノローグが入って、息子を殺した王族を滅ぼした、それに該当するシーンを入れればいいのだろうか?
少なくともブラックアダムのキャラクターとは違うでしょ。あの演出はメタを使っても違和感無しのキャラ専用なんだから。
皮肉は言えるけど、ジョークが言えるように見えますかって話。
昔と今もカーンダックって国は、市民が虐げられている世界。かつて奴隷だったブラックアダム。彼を復活させる考古学者のアドリアナと息子のアモンの共通点なのだから。
描かれるブラックアダムの伝説も、伝説に期待するアモンと、期待されているような者じゃないってブラックアダム本人の真実。
それによる差が生まれる。
で、中盤クライマックスの敵が所有する鉱山でアモンを助けるところで、ブラックアダムが力を暴走させてアモンを殺しかける。
自分から仮死状態になる事を申し出たシーン、「俺はヒーローじゃない」につながる。
『シャザムと共通して家族の形がテーマ?』
ブラックアダムはスーパーパワーを持った目的を持たない男。でも、次第に目的は無意識的にできる。
復活させたアドリアナに亡くした奥さんを見ているとは言えないけど、アモンには亡くした息子を重ねているよね。だから、なんとしても助けてやるぞって大暴れしているわけ。
で、映画を見たら好きになるJSAのメンバー、ドクターフェイトの魔術を使った呼びかけ。収容所からの脱出、そして復活。呼びかけも大きいけど、やはり最後の決め手はアモンのブラックアダムに対する祈り。
あの子のピンチだ、助けに行こうと
『シャザム』
を口にする。
血のつながりは無いし、「俺にとっては息子だ」的な事は言わないけど、
子供を助けにお父さんがラスボスを倒しに飛んで行くのである。
だから「地獄送り、ブラック参上」とアモンが考えた決め台詞を言ってくれる。
目的を持たない男が家族的なつながりを持つ話でもあると私は考えている。
シャザムも家族の形で血は関係無いと言っているように。
『JSAについて』
元もそうだけど、アメリカを守る為のヒーローチームである。「ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ」だからね。
しかも、正義ではあるけど現実の闇がバックに入っている。あの国とあの国の話とかね。
その象徴にThe国益の象徴、アマンダ・ウォラーがいるからね。
それはともかくキャラが立っているよね。
空飛ぶタンク、血の気が多いリーダー、もちろん良い奴、ホークマン
イケオジ、ぶっちゃけチートな魔術師、ドクターフェイト
できる風使い、スローモーションで映える、サイクロン
コメディリリーフ担当、巨人、アトムスマッシャー
JSAの存在は戦隊ヒーローVS戦隊ヒーローなのである。ブラックアダムと敵対し、共闘する。
人によっては矛盾した正義がどうのこうのって意見があるかもしれないけど、気にしたら負け。ブラックアダムのおかげでカーンダックは平和になりました、でオッケー。
確かに、ブラックアダム一人でアモン救出はできるかもしれないけど、暴走させてしまった力から守ってくれる超人がいなかったらアモンとアドリアナは死んでいた可能性が高いんじゃない。
先に触れた通りドクターフェイトが仮死状態のブラックアダムを覚醒させる等の心理的影響を与えているよね。
ホークマンの「殺すな」は大して影響は与えて無さそうだけど。ただ、不良漫画みたいにケンカして、一緒に戦ったから、ある種ブラックアダムから信頼みたいなものは得ていると思うよ。
見たら好きになるNO1のドクターフェイトや、ポストクレジットの男スーパーマンにはあえて触れません。ここまで書くのに力尽きそうなので。
まとめ
ブラックアダムは面白いです。
ドゥエイン・ジョンソンが大暴れする映画で間違いないですが、ある種の家族物、ヒーロー映画でもあるのです。堅苦しいことはブラックアダムの様に山の向こうにポイしましょう。
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